キルヒール

テレビショッピングのファッション部門MCウ・ヒョン（キム・ハヌル）は、看板MCを夢見ていたが、その座にはいつもペ・オクソン（キム・ソンリョン）がいた。落ち目と言われ、仕事も家庭も上手くいかず、どん底にいたヒョンに手を差し伸べた専務のキ・モラン（イ・ヘヨン）。モランに何か狙いがあることを知りながら、ヒョンはMCとして輝くためにその手を取る。
キム・ハヌルが、テレビショッピングのMCとして一時は輝くも、トイレットペーパーの紹介をするほどに落ちぶれた女性ヒョンを真に迫る演技で表現し、そこから、イ・ヘヨン扮するモランの介入により、戦う強い女性へと変わっていく様を、美しくカリスマ性のある姿で表現している。ハヌルが見せるその変化から目が離せない。また看板MCであるオクソンの愛情溢れる人柄をキム・ソンリョンが巧みに表現し、オクソンの持つ影を見事に隠す。イ・ヘヨン扮する専務であり会社のトップを狙う強い女性モランは、ハイヒールで制圧するような力強さが印象的だ。ぶつかり合う3人のパワーバランス、ハラハラする展開に続きが気になってしまう。

『風が吹く』や『18アゲイン』で、愛情深く芯のある女性を演じ共感を呼んできた女優キム・ハヌル。その彼女が本作で、落ち目のテレビショッピングMCウ・ヒョンに扮し、どん底から這い上がり看板MCを目指す強い女性を表現する。作品ごとに様々な女性の姿をリアルに演じ、視聴者を引き付けてきたキム・ハヌルの新たな姿に注目して欲しい。また、看板MCペ・オクソンに扮するキム・ソンリョン、テレビショッピング会社の専務キ・モランに扮するイ・ヘヨンといった、ベテラン女優達の掛け合いも見逃せない。

本作に登場する女性たちは、それぞれが自分の戦場で戦う女性だ。それを演じた女優たちの演技も競い合う如く光っている。特にテレビショッピング会社社長の妻シネに扮したハン・スヨンの存在は、作品に緊張感を与え、美しい社長夫人という顔の裏に秘めた横暴さや、嫉妬心を感情豊かに表現していて、見るものをドキドキさせる危うさがある。その他にも、シン・ジュア扮するヒョンの同僚でわがままなMCコウン・ナラ。パク・ヒジン扮する現場を明るくさせる食品部門MCノ・ダビ。ムン・ジイン扮するプロデューサー1年目で、テレビショッピング業界に馴染めないノ・ソンウといった登場人物が、ドラマを支えている。それぞれの女性の立場、生き方に共感する視聴者も多いはずだ。

uniホームショッピングのファッション部門ショーホストのウ・ヒョン。彼女はuniの看板MCを夢見ていたが、その座にはいつもペ・オクソンがいた。落ち目と言われ、家庭も上手くいかず、どん底にいた彼女に手を差し伸べたのは、専務のキ・モランだった。